文藝同人誌 『八月の群れ』 公式ブログ

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涼しくなる話を一つ。

八月の群れ同人の葉山ほずみです。

先週の暑さはすごかったですね。
梅雨明けは暑くなるとのことですが、今年の暑さは大変なものでした。
みなさんへ暑中見舞い代わりの涼しくなるお話を一つさせて頂きます。

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昨年末の、ショッピングモールに飾ってあるポインセチアが撤去されることの話です。

 毎年の恒例行事である年末の挨拶のために、取引先の部長が来社することになっていました。

 部長は五十代半ばの男性で、小柄なわりにがっちりした体躯をした人でした。

 彼は約束の午前9時半少し前に現れました。

 いつも豪快に笑う四角い顔は心なしか茶色く、いつもシワなど一つもないジャケットの背中には、細かなダーツが出来てました。

 その日の様子は初めて見るようなものだったので、まさか体調でも崩されているのだろうかと思ったほどです。

 けれど、すぐに一つ思いつきました。

 部長は東京都大田区に自宅があるので、前日から泊まらずに当日移動したのではと考えたのです。早朝の新幹線は疲れるものです。ジャケットも脱ぎ忘れたまま座席に座って寝てしまったなら、シワの説明もつきます。

「今朝は何時ごろご自宅を出られたのですか?」

 そう尋ねられた部長は疲れた笑顔を向け、首を振りました。

「昨日、神戸には着いたんですよ。着いたんですけど――」

 部長は少し首をひねりながら話し始めました。


 年末だからか常宿のビジネスホテルが取れなかったんですよ。どこも一杯でね。さすが神戸は観光地だな、なんて感心しながらいつもと違うホテルに泊まったんです。どこにでもあるビジネスホテルですよ。

 ホテルに入ったのは夕食が終ってからですから、8時過ぎたころですね。一人で三宮で飲む気にもなれず、というか、忘年会シーズンでどこも混んでましてね。結局、北野坂にある蕎麦屋で天そばを食べて、瓶ビールを一本飲んだんです。コンビニで缶ビールを買って、ホテルへ向かいました。

 ホテルに着いて缶ビールを一本飲んで、そのままベッドに寝転がってテレビを観てました。いつのまにかシャワーも浴びずに寝てしまっていたのです。点けていたテレビは消えてました。もしかしたら、無意識に自分で消したのかもしれません。

 ベッドサイドに置いていた時計を見ると夜中の2時を少し回ったところでした。シャワーを浴びようかどうしようかと迷っていたら、カチャリ、と音が聞こえたんです。

 なんだろう? そう思ってベッドから起き上がると浴室のドアが開いた音でした。そのままドアを閉め直し、シャワーは明日の朝浴びることにして、もう一度ベッドに寝転がりました。

 そして、目を閉じてしばらくすると、カチャリ、とまた音がするのです。

 変だな……ぐらいには思いながらも、もう一度ドアを閉めました。今度はちゃんと閉まったことを確認してノブを引っ張ったりしました。

 そして、ドアに背中を向けたとたん、カチャリ、とまたドアが開いたのです。

 さすがに気持ち悪くなって、ベッドのまくら元に飾ってあった額を動かしてみたんですよ。

 そしたら、その額の後ろにお札が貼ってあったんです。黄ばんだ紙で、壁にべったりとくっついてました。

 もうそれを見たら、その部屋にいるのが怖くて怖くて。普段、そんな話なんて信じてないのに、いざ自分の目で見てみると怖いもんですよ。

 荷物をまとめて部屋の電気も消さずに飛び出したんです。

 フロントに行って、部屋を変えてくれるように頼みました。しかし、どこの部屋も余ってないとの返事で、フロントがこう言ったんですよ。

「お客様の部屋が最後の一室でございます」

ってね。

 それをきいて、そのままホテルをチェックアウトしたんです。そうです。夜中の二時過ぎに。

 それからマンガ喫茶に行って夜を明かしました。


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というお話でした。
どうでしょう。
少しは涼しくなるお手伝いができましたでしょうか?

ちなみに、このお話、すべて実話です。











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by hachigatu_no_mure | 2014-07-29 21:40 | 小説 | Comments(0)

富士山に登りました

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同人の追洲流です。7/17富士に登った感想です。
出発点の吉田口五合目から見上げるとなだらかそうな富士山ですが、実際は急な岩路でした。
幸い天候に恵まれ通常の倍近い時間がかかりましたが(ツアーなので、脚の弱いおばさんもいる)登り切りました。
日本最高地点の剣が峰に立った気分は格別でした。
登りの時は麓の演習場からやって来た大勢の若い自衛隊員(一人に年令を訊いたら18歳。私と50違う)と一緒になり、ベトナム、タイ、モンゴルからの訓練生もかなり交っているのに驚きもし、安心もしました。
小学生の男の子、二人の手を引いたお父さんの姿も二組見ました。
登って来る人に白人系の外国人の多いことにもびっくり。
又、五合目までバスで来られるのですが、中国人観光客(本土の人)が多いのにビックリ。
又、伝統的な真っ白な衣装に身を固めた富士講の一団も遠くから望めました。
さまざまな人々を引きつける富士山に改めて驚いた登山でした。
私たちの下山時は強風となり、登山を取りやめるグループもいました。今日は雷で登山は難しいようです。当然のことながら、自然の驚異も大きな山でした。
登る前に新田次郎の富士山ものをたくさん読んだのですが、彼が気象庁時代建設に腐心した山頂のレーダードームも取り払われ、登る人も様変わりでした。

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by hachigatu_no_mure | 2014-07-19 22:13 | Comments(4)

第8回神戸エルマール文学賞候補作

「八月の群れ」編集委員会事務局からのお知らせです。神戸エルマール文学賞事務局から葉山ほずみ同人の「ブラディウェーブ」が候補作となった連絡がありました。
最終選考結果は9月になるそうです。でも、我が同人の作品が候補作となったことはすばらしいことです。
下記は神戸エルマール文学賞事務局から送られてきた候補作一覧表のコピーです。葉山同人が賞を取ったらいいですね。みんなで陰ながら応援しましょう。

■第8回神戸エルマール文学賞候補作(誌名の五十音順)

NO

雑 誌 名(発行所在)

作 品 名

作 者 名

1

あべの文学   (大阪市)

18

北オハイオの冷たい風

森口 透

2

Ignea(イグネア)(島本町)

4

沼の上に立つ家

松木あかね

3

カンテラ    (西宮市)

26

回転木馬

本 千加子

4

とぽす     (茨木市)

54

色にさわる

今野奈津子

5

白鴉      (尼崎市)

27

青いぷにゅぷにゅ

丸黄うりぽ

6

八月の群れ   (明石市)

57

ブラディウェーブ

葉山ほずみ

7

姫路文学    (姫路市)

127

マラガの女

真野あきら

8

文学雑誌    (豊中市)

89

三ヶ月

涸沢 純平

9

別冊関学文藝  (大阪市)

47

その後の人

名村 峻

10

港の灯     (神戸市)

6

雪虫

三浦 保

11

Mon       (大阪市)

2

ナナフシ

島田奈穂子

12

自費出版    (神戸市)

単行本

ブルターニュの空

植田多江子


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by hachigatu_no_mure | 2014-07-09 23:40 | お知らせ | Comments(3)

鹿が出ました。

 八月の群れ同人の葉山ほずみです。

 うちの実家は市街地から離れた山の麓にあります。

 先日、母が庭の木の剪定を植木屋さんにお願いしたときに庭の裏に山からお客さんが来たそうです。
 夜行性のはずなんですけど、お昼でも行動するんですね。
 
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 この鹿の後ろに移っているのは『山桃』の木です。
 

 庭に仕事にきれくれていた植木屋さんが、

 「あの山桃だったら百年ぐらい経ってるのに、ひどい切り方してるなあ」

 と悲しそうにしていたそうです。

 「木っていうのは命がけで葉っぱを出してるのよ」

 とぽつりと植木屋さんの大将がこぼしてた言葉を母が教えてくれました。


 命かけで新芽を出している、というのがどうも頭から離れなくて、
 そう思いながら見てみると、ベランダにある小さな新芽をつけている鬼ヒイラギも黄金桃の木も、すごく愛おしく思えます。
 植物が生きているっていうのはわかっていたつもりではいたのですが、
 そんな風に思ったことがなかったので、とてもいい勉強になりました。

  
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by hachigatu_no_mure | 2014-07-04 21:30 | 日々雑多 | Comments(4)